下肢スポーツ障害
シンスプリント・過労性骨膜炎
その多くは脛骨(すねの骨)の中下1/3 内側に発生し、ヒラメ筋(ふくらはぎの筋肉)の起始部(筋肉の骨に付いている部分)に over stress が繰り返されることにより生じる過労性骨膜炎です。
過度なランニング・ジャンプ動作で発症し、比較的難治性です。
発症原因、症状の部位から脛骨疲労骨折との鑑別が重要です。
(しんすぷりんと:けいこつかろうせいこつまくえん)
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
シンスプリントとは、脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)とも呼ばれ、すねの内側に痛みが生じる過労性の障害です。
主に、ランニングやジャンプを繰り返すスポーツ選手に多く見られる症状で、過剰な負荷がかかることで脛骨(すねの骨)周辺の筋肉や骨膜(骨を覆う膜)が炎症を起こすことが原因です。
原因
シンスプリントの主な原因は、脛骨に過剰なストレスがかかることです。具体的には以下の要因が関与します:
- 過度の運動: 特にランニング、ジャンプ、ダッシュなどの下肢に強い衝撃を繰り返すスポーツ(陸上、バスケットボール、サッカーなど)で発生しやすいです。
- 運動量の急激な増加: 運動強度や量を急に増やすと、筋肉や骨膜が過負荷を受け、炎症が発生します。
- 不適切なシューズや硬い地面: クッション性の低い靴や、硬い路面での運動が、シンスプリントのリスクを高めます。
- 足の形状異常: 偏平足やアーチの低下がある場合、脛骨にかかる負担が増し、シンスプリントのリスクが高まります。
- 筋力や柔軟性の不足: ふくらはぎや足の筋力が弱かったり、柔軟性が低下していると、負荷が骨や筋膜に集中しやすくなります。
症状
シンスプリントの症状は主に以下の通りです:
- すねの内側の痛み: 特に運動中や運動後に痛みが現れます。初期は運動後に感じる程度ですが、悪化すると安静時にも痛みが持続することがあります。
- 圧痛: すねの内側を押すと痛みを感じることがあります。
- 腫れや炎症: 痛みのある部分に軽度の腫れや炎症が見られることがあります。
診断
シンスプリントは主に視診や触診で診断されますが、他の障害(例えば疲労骨折やコンパートメント症候群)を排除するために、X線やMRIが行われることもあります。シンスプリントでは画像診断で大きな異常が見られないことが多いですが、長期間放置すると疲労骨折に進展する可能性があります。
治療法
シンスプリントの治療は基本的に保存療法が中心です。早期に適切な対処を行うことで回復を促進できます。
保存療法
- 安静: 最も重要なのは、脛骨にかかる負担を減らすことです。痛みが引くまで運動を中止し、安静を保ちます。
- アイシング: 炎症や痛みを軽減するため、運動後や痛みがある際に患部を冷やします。
- ストレッチと筋力トレーニング: ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性を高め、筋力を強化することで再発を防ぎます。
- シューズの見直し: クッション性やサポート力の高いシューズを選ぶことで、衝撃を緩和します。また、偏平足の方はインソール(アーチサポート)を使用すると効果的です。
- 抗炎症薬: 痛みや炎症を抑えるため、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用することがあります。
予防
シンスプリントを予防するためには、以下の点に注意が必要です:
- 段階的な運動負荷の増加: 運動の強度や距離を急激に増やさず、徐々に体を慣らしていくことが大切です。
- 適切なシューズの選択: 衝撃を吸収し、足に合ったサポートのある靴を使用することが重要です。
- 足のアーチサポート: 偏平足やアーチが低い人は、適切なインソールやアーチサポートを使用して、負担を分散させます。
- 筋力と柔軟性の向上: 特にふくらはぎや足首の筋力を強化し、柔軟性を保つことで、脛骨にかかるストレスを軽減できます。
シンスプリントは早期の対処と予防で、症状を軽減し、スポーツや日常生活への復帰を早めることが可能です。
(かろうせいこつまくえん)
過労性骨膜炎(シンスプリント)
過労性骨膜炎(かろうせいこつまくえん)は、「シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)」といい、骨の表面を覆う骨膜に炎症が生じる状態を指します。
骨膜は骨の表層に存在する結合組織で、血管や神経が豊富に含まれており、骨の成長や修復に重要な役割を果たします。この骨膜に過剰な負荷や反復的なストレスがかかることで炎症が起こり、痛みや不快感を引き起こします。
原因
過労性骨膜炎は、主に以下の要因によって引き起こされます:
- 過度の運動: ランニングやジャンプなど、反復的な衝撃が骨膜にかかるスポーツや運動が主な原因です。
- 急激な運動負荷の増加: 急にトレーニングの強度や頻度を増やすと、骨や骨膜が負荷に耐えきれなくなり、炎症が生じやすくなります。
- 不適切な靴や硬い地面での運動: 足に合わない靴や、硬い路面で運動することにより、足やすねの骨に負担が集中し、骨膜にストレスがかかります。
- アライメントの問題: 偏平足や膝のアライメント異常など、足の構造的な問題がある場合、運動時に骨膜に過度の負担がかかりやすくなります。
- 筋力や柔軟性の不足: 筋肉のサポートが不十分だと、骨膜にかかるストレスが増加します。
症状
過労性骨膜炎の主な症状は次の通りです:
- 骨に沿った痛み: 特に運動時や運動後に、骨の表面に沿って痛みが生じます。痛みはすねの内側(シンスプリント)や前面に集中することが多いです。
- 圧痛: 痛みのある部分を押すと、鋭い痛みを感じることがあります。
- 腫れ: 炎症が進むと、骨の表面に軽度の腫れが見られることがあります。
診断
過労性骨膜炎は、問診や視診・触診によって診断されます。運動歴や痛みの発生状況を確認し、患部を押して痛みの箇所を特定します。疲労骨折との鑑別のために、X線やMRIが行われることもありますが、過労性骨膜炎自体はこれらの検査では確認できない場合が多いです。
治療法
過労性骨膜炎の治療は主に保存療法が中心となります。
保存療法
- 安静: 骨膜にかかるストレスを減らすために、運動を一時中止し、痛みが引くまで安静にします。
- アイシング: 痛みや炎症を抑えるために、痛みのある部分を冷やします。
- ストレッチと筋力トレーニング: ふくらはぎや足の筋肉の柔軟性を高め、筋力を強化することで、骨膜への負担を軽減します。
- シューズやインソールの見直し: クッション性の高い靴や、足のアーチをサポートするインソールを使用することで、骨膜へのストレスを和らげます。
- 抗炎症薬: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、痛みや炎症を軽減します。
予防
過労性骨膜炎を予防するためには、以下の点が重要です:
- 運動量を徐々に増やす: 急に運動負荷を増やさず、段階的に体を慣らしていくことが大切です。
- 適切なシューズの使用: 足に合った靴を選び、クッション性やサポート力を持つシューズを使用します。
- ストレッチや筋力強化: 足やふくらはぎの筋力と柔軟性を高め、骨膜への負担を軽減します。
- 柔らかい地面での運動: アスファルトやコンクリートのような硬い地面での運動を避け、芝生やトラックなど柔らかい地面で運動することを心がけます。
過労性骨膜炎は、早期に対処すれば回復が見込めるため、痛みを感じた場合は無理をせず適切な休養を取ることが重要です。