足関節・足部障害
アキレス腱障害
アキレス腱障害は、大きくアキレス腱炎とアキレス腱周囲炎に分かれますが、スポーツ障害としてしばしば問題となるのは前者です。
本病態は繰り返すスポーツストレスによる腱の部分断裂で、腱は部分断裂と自然修復を繰り返し瘢痕化(変性)します。
通常はスポーツ開始時の同部の痛みが主症状ですが、stageが進むとスポーツ時持続性となります。
また、経過の長い例では同部が脆弱化(へたっている)しているため、突然完全断裂し、アキレス腱断裂に移行することもあります。
治療は腓腹筋・アキレス腱のストレッチングを中心とした保存療法を行ないますが、難治性であり、瘢痕化組織の切除等、手術療法を行なうこともあります。
(あきれすけんしょうがい)
アキレス腱障害
アキレス腱障害とは、足のかかととふくらはぎを結ぶアキレス腱に炎症や損傷が生じる障害の総称です。
アキレス腱は人体で最も強靭な腱ですが、日常的に大きな負担がかかるため、スポーツ選手や中高年層を中心に障害が発生しやすい部分です。アキレス腱障害には、アキレス腱炎やアキレス腱断裂などが含まれます。
アキレス腱の役割
アキレス腱は、**ふくらはぎの筋肉(腓腹筋やヒラメ筋)と、足のかかとの骨(踵骨)**を結びつける腱で、歩行やランニング、ジャンプなどの動作で重要な役割を果たします。足を地面から押し上げる力を生み出すため、アキレス腱が正常に機能しないと、歩行や運動が困難になります。
アキレス腱障害の種類
アキレス腱障害には、いくつかの異なる形態があります。
- アキレス腱炎(腱炎・腱周囲炎)
- アキレス腱が炎症を起こす状態で、主に過度の使用が原因です。
- 特にランニングやジャンプの動作を繰り返すスポーツ選手に多く見られます。
- アキレス腱症(腱変性症)
- アキレス腱の組織が劣化し、炎症よりも腱の変性や損傷が目立つ状態です。
- 長期間の腱への負荷や加齢による組織の弱化が原因となります。
- アキレス腱断裂
- アキレス腱が部分的または完全に断裂する状態です。
- 突然のジャンプやダッシュ、急な方向転換などによって発生することが多く、中年層に多い障害です。
原因
アキレス腱障害の主な原因は以下の通りです:
- 過度の使用: ランニングやジャンプを多用するスポーツ選手は、アキレス腱に反復的な負荷がかかり、炎症や損傷が起こりやすいです。
- 急激な運動量の増加: 急にトレーニングの強度や頻度を増やすと、アキレス腱に負荷がかかり障害が発生しやすくなります。
- 加齢: アキレス腱は加齢によって弾力性や強度が低下し、特に中年以降に障害が発生しやすくなります。
- 不適切なシューズや地面: サポートが不十分な靴や硬い地面での運動は、アキレス腱に余分なストレスをかけます。
- 筋肉の柔軟性不足: ふくらはぎの筋肉が硬くなると、アキレス腱への負担が増加します。
症状
アキレス腱障害の症状は、障害の種類や重症度によって異なりますが、共通する症状は次の通りです:
- アキレス腱部の痛み: 特に運動中や運動後にかかとの上部やふくらはぎの下部に痛みを感じます。
- 腫れや硬さ: アキレス腱の周囲に腫れが見られ、動かすと硬さを感じることがあります。
- 圧痛: アキレス腱に触れると強い痛みを感じることがあります。
- 可動域の制限: アキレス腱の柔軟性が低下し、足首の動きが制限されることがあります。
- 断裂時の「パチン」という音: アキレス腱が断裂した際には、「パチン」とした音や感覚があり、歩行が困難になります。
診断
アキレス腱障害は、以下の方法で診断されます:
- 視診・触診: アキレス腱の状態や痛みの箇所を確認し、圧痛や腫れがあるかを調べます。
- 超音波検査やMRI: アキレス腱の炎症や損傷、断裂の有無を確認するために、画像診断が行われます。
治療法
アキレス腱障害の治療は、保存療法から手術療法まで様々です。
保存療法
- 安静と活動制限: アキレス腱に負荷をかける運動を避け、痛みが軽減するまで安静にします。
- アイシング: 痛みや炎症を軽減するため、患部を冷やします。
- ストレッチと物理療法: ふくらはぎやアキレス腱を柔軟に保つために、ストレッチやリハビリを行います。
- サポーターやヒールリフト: アキレス腱をサポートするためのサポーターや、ヒールリフトを使用して負担を軽減します。
- 抗炎症薬: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して痛みや炎症を和らげます。
手術療法
アキレス腱の完全断裂や保存療法で改善しない場合には、手術が必要です。手術では、断裂したアキレス腱を縫合したり、損傷した組織を除去して修復します。術後はリハビリが重要で、筋力や柔軟性の回復を目指します。
予防
アキレス腱障害を予防するためには、以下の点に気をつけることが大切です:
- 適切なウォーミングアップとクールダウン: 運動前後にしっかりとウォーミングアップやストレッチを行い、筋肉と腱を柔軟に保つ。
- 負荷を徐々に増やす: 運動量や強度を急に増やさず、段階的に増やしてアキレス腱への負担を減らします。
- 適切なシューズの使用: 足に合ったサポートのある靴を選び、硬い地面での運動を避ける。
- 筋力強化と柔軟性の維持: ふくらはぎや足首周りの筋肉を強化し、アキレス腱にかかる負担を減らします。
アキレス腱障害は早期に適切な治療を行うことで、症状が悪化するのを防ぎ、再発を予防することが可能です。
(あきれすけんしゅういえん)
アキレス腱周囲炎
アキレス腱周囲炎(Achilles Tendinitis)は、アキレス腱周囲の炎症を指します。
アキレス腱はふくらはぎの筋肉からかかとにかけて伸びる腱で、歩行、走行、ジャンプなどの動作に重要な役割を果たしています。アキレス腱周囲炎は、腱自体やその周囲の組織(腱鞘や滑液包)が炎症を起こす状態です。
原因
アキレス腱周囲炎の主な原因には以下のようなものがあります:
- 過度の使用: 短期間に激しい運動をすることや、長時間のランニング、ジャンプなどが腱に過度な負担をかけることがあります。
- 急な運動の増加: 運動量や運動強度を急激に増加させることが原因となることがあります。
- 不適切な靴: サポートが不十分な靴や、適切でない靴の使用がアキレス腱にストレスをかけることがあります。
- 筋肉の硬直: ふくらはぎの筋肉の柔軟性が不足していると、アキレス腱に余分な負担がかかることがあります。
- 足部のアライメント異常: 足のアーチの異常や過剰な内反などがアキレス腱に影響を与えることがあります。
症状
アキレス腱周囲炎の主な症状には以下のようなものがあります:
- ふくらはぎの痛み: アキレス腱の付着部やその周囲に痛みを感じることがあります。
- 腫れ: アキレス腱周囲が腫れることがあります。
- こわばり: 朝起きたときや運動後に腱周囲が硬く感じることがあります。
- 圧痛: 腱周囲を押すと痛みを感じることがあります。
- 動作制限: 足首の動きに制限を感じることがあります。特にアキレス腱を伸ばす動作が痛みを引き起こすことがあります。
診断
アキレス腱周囲炎の診断には以下の方法が用いられます:
- 問診: 症状の発生時期、運動歴、靴の状態、痛みの部位などを確認します。
- 身体検査: 足首やふくらはぎの圧痛、腫れ、可動域の制限を評価します。
- 画像検査:
- 超音波検査: 腱の炎症や腫れの評価に用いられます。腱の変性や損傷の有無を確認することができます。
- MRI: 腱の状態や周囲の軟部組織の評価に使用されることがあります。特に重度の症例や他の病変が疑われる場合に有用です。
治療法
アキレス腱周囲炎の治療法は以下のようなものがあります:
- 急性期の処置:
- R.I.C.E.療法(Rest, Ice, Compression, Elevation):安静、冷却(アイスパック)、圧迫、挙上によって腫れや痛みを軽減します。
- 痛み管理: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛剤を使用して痛みや炎症を軽減します。
- リハビリテーション:
- ストレッチと筋力トレーニング: ふくらはぎの筋肉をストレッチし、強化することで腱にかかる負担を軽減します。
- 物理療法: 超音波療法や温熱療法などが痛みや炎症を軽減するために使用されることがあります。
- 装具: 足首の安静を保つために、足首サポーターやインソールを使用することがあります。
- 靴の見直し: 適切な靴を選び、足部のアライメントを改善することが推奨されます。
- 活動の調整: 運動量や運動強度を調整し、アキレス腱に過度な負担をかけないようにします。
予防
アキレス腱周囲炎を予防するためには以下の対策が有効です:
- 適切なウォームアップとストレッチ: 運動前に十分なウォームアップとストレッチを行うことが重要です。
- 筋力トレーニング: ふくらはぎの筋肉を強化し、腱への負担を軽減します。
- 適切な靴の使用: 足部のサポートが十分な靴を選ぶことが推奨されます。
- 運動量の調整: 運動を急激に増やさず、徐々に負荷を上げることが重要です。
アキレス腱周囲炎は、適切な治療とリハビリテーションを受けることで回復が可能です。症状がある場合や診断が必要な場合は、専門医の診断と治療を受けることが重要です。