有痛性分裂膝蓋骨

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膝関節障害

有痛性分裂膝蓋骨


膝蓋骨(お皿の骨)の骨化核(骨の成長の中心)は、2-6歳頃出現し、骨格成長の終了までに骨化が完成しますが、なんらかの原因で骨化核が2つ以上に分裂しているものがあり、これが1つに形成されないと分裂膝蓋骨となります。
 
分裂しているだけでは無症状ですが、これにランニング、ジャンプ動作等繰り返しスポーツストレスが加わると発症します。
 
発生部位により3型に分かれますが、上外側のtypeⅢがほとんどです。
またそのほとんどは男子に発生します。 
 
治療は、大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)のストレッチングを中心とした保存療法を行ないますが、スポーツ強度の高い選手では分裂骨片の摘出手術を行なうことがあります。


(ゆうつうせいぶんれつしつがいこつ)

有痛性分裂膝蓋骨


有痛性分裂膝蓋骨(ゆうつうせいぶんれつしつがいこつ、Painful Bipartite Patella)は、膝蓋骨(膝のお皿の骨)が完全に癒合せず、二つ以上に分かれた状態が原因で、痛みや炎症が生じる症状です。
 
通常、膝蓋骨は一つの骨として形成されますが、成長過程で骨化(骨が形成される過程)が不完全な場合、一部が分裂したまま残ることがあります。これ自体は多くの場合無症状ですが、外傷や繰り返しの膝への負担によって痛みが生じることがあります。
 

主な症状

  • 膝の前面の痛み: 特に膝蓋骨の外側や上側に痛みを感じることが多いです。運動後や長時間の膝の使用で悪化します。
  • 腫れや圧痛: 膝蓋骨周囲に軽い腫れや触れたときの痛み(圧痛)がみられることがあります。
  • 膝の屈伸時の痛み: 特に膝を曲げたり伸ばしたりする動作で痛みが強くなることがあります。階段の上り下りや走行中に痛みが増すことが多いです。
  • 運動後の痛みの悪化: スポーツやランニングなどの膝に負担がかかる活動後に、痛みが増すことがあります。

 

原因

有痛性分裂膝蓋骨の原因は、膝蓋骨が成長過程で正常に癒合しなかったことに起因します。この分裂自体は先天的なものであり、膝蓋骨の約23%の人に見られる比較的珍しい状態です。ただし、通常は無症状であり、痛みを伴うことは少ないです。
 
痛みが発生するのは、以下の要因が関与したときです:

  • 外傷: 転倒や衝撃によって分裂した部分が刺激され、炎症や痛みが生じます。
  • 繰り返しの負担: 長時間の運動やスポーツで、膝蓋骨にかかる負担が蓄積し、分裂した部分が刺激されることがあります。

 

診断

診断には、X線検査やMRIが使用されます。X線検査では、膝蓋骨が分裂している様子が確認でき、MRIでは軟部組織や軟骨の状態も評価できます。通常、分裂した骨片がはっきりと見えるため、診断は比較的容易です。
 

治療法

治療は、症状の程度や患者の活動レベルに応じて異なります。
 

保存療法

軽度の症状では、保存療法が一般的です。

  • 安静: 膝を休め、運動を控えることで炎症を抑えます。
  • アイシング: 炎症や痛みを軽減するために、膝を冷やします。
  • 抗炎症薬: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、痛みと炎症を抑えます。
  • リハビリ: 太ももの筋肉(大腿四頭筋)やハムストリングスを強化するリハビリが行われます。膝にかかる負担を軽減し、膝蓋骨の安定性を向上させることを目指します。

 

手術療法

保存療法で改善が見られない場合や、痛みが強く日常生活に支障をきたす場合は、手術が検討されます。

  • 骨片の除去: 分裂した骨片が痛みの原因となっている場合、手術でその部分を取り除くことがあります。
  • 骨の固定: 分裂した部分を固定して癒合を促す手術が行われることもあります。

 

リハビリと予後

手術後や治療後のリハビリテーションでは、膝周りの筋力を強化し、柔軟性を高めることで再発を防ぐことが重要です。多くの場合、適切な治療を行うことで、症状は改善し、日常生活やスポーツ活動に復帰できることが期待されます。
 

予後

有痛性分裂膝蓋骨は、治療を適切に行えば良好な予後を示すことが多いです。