膝関節障害
オスグッド氏病
正式には Osgood-Schlatter disease と言いますが、病気ではなく、成長期(10歳~14歳)の骨・軟骨障害です。
この時期は growth spurt と言って骨・長軸の成長が急激に起こる時期で、これに大腿四頭筋の成長が伴わないため相対的な筋短縮状態となり、腱付着部(脛骨粗面)に過牽引力がはたらきます。
ここの成長軟骨(apophysis)が剥がれることが病態とされています。
所謂“軟骨が飛び出した”と言う のがこれです。
サッカー(キック動作)やバスケットボール・バレーボール(ジャンプ動作)に多く発症するようです。
ほとんどの症例が保存的に加療されます。
(おすぐっど・しゅらったーびょう)
オスグッド・シュラッター病
オスグッド・シュラッター病(Osgood-Schlatter病)は、成長期の子どもや若年者に多く見られる膝の障害で、脛骨粗面(膝下の前側、脛骨の上部にある部分)が炎症を起こす病気です。
特にスポーツを行っている10~15歳の成長期の子どもに多く発症します。
主な症状
- 膝の前面の痛み: 特に膝蓋骨(膝のお皿)のすぐ下、脛骨粗面部分に痛みが出ます。
- 腫れや隆起: 脛骨粗面が腫れて、触ると硬い隆起が感じられることがあります。
- 痛みの悪化: 走ったり、ジャンプしたり、膝を使う運動後に痛みが増すことが多いです。
- 片側または両側: 症状は片側の膝だけで発生することもあれば、両側に発症することもあります。
痛みは通常、運動中や運動後に感じられますが、症状が進行すると日常生活の動作でも痛みが現れることがあります。
原因
オスグッド病は、膝の大腿四頭筋(太ももの前側にある筋肉)が脛骨に付着する部分である脛骨粗面に過度の引っ張りが加わることによって発生します。成長期の子どもでは骨や腱、筋肉が急速に発達するため、この部分が炎症を起こしやすくなります。
- スポーツ: 特にランニング、ジャンプ、急な方向転換を伴うスポーツ(サッカー、バスケットボール、陸上競技など)を行っている子どもに多く見られます。
- 成長期: 骨の成長と筋肉の成長のバランスが取れていない時期に、膝への負荷が大きくなることが原因の一つです。
診断
オスグッド病は、問診や膝の痛みの部位を確認する臨床診察によって診断されます。場合によっては、X線を用いて脛骨粗面の炎症や骨の成長を確認することもあります。
治療法
オスグッド病は、通常は成長が止まると自然に回復するため、症状を緩和し、炎症を抑えるための対処が中心となります。
- 安静: 膝への負担を減らすために、激しい運動を一時的に中止することが重要です。
- アイシング: 痛みや腫れを軽減するために、運動後に患部を冷やします。
- ストレッチと筋力強化: 大腿四頭筋やハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)の柔軟性と筋力を向上させるストレッチやエクササイズが推奨されます。これにより膝への負担が軽減されます。
- 抗炎症薬: 痛みが強い場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されることがあります。
リハビリと経過
治療期間中は、痛みが出ない範囲での軽い運動やリハビリが行われることがあります。通常、成長が終わると症状は自然に治まり、膝の機能に長期的な問題を残さないことがほとんどです。しかし、脛骨粗面の隆起は成長後も残る場合があります。
オスグッド病は一時的な痛みや不快感を伴いますが、適切に対処すれば長期的な後遺症は少ないです。