膝関節障害
ランナー膝-ランニング(running)/ジョギング(jogging)障害
Runner’s knee、文字通りランニングによる膝関節障害で、いくつもに分類されていますが、臨床上その中心は“腸脛靭帯炎”です。
腸脛靭帯は、大腿(太もも)の外側を縦走する強靭な靭帯(腱)で、これが大腿骨外顆に擦れて(friction)発症します。
したがって O脚の人に多く発生します。
長距離ランナーに多いことは間違いありませんが、バスケットボール、サッカー等でも発症します。
ほとんどが保存的に加療され、外側足底板装具療法も効果的です。
らんなーひざ(ちょうけいじんたいえん)
ランナー膝(腸脛靭帯炎)
ランナー膝(ランニング障害、腸脛靭帯炎、Iliotibial Band Syndrome, ITBS)は、特にランニングやジョギングをしている人に多く見られる膝の障害です。
膝の外側に痛みを引き起こす腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)の炎症や摩擦が原因となります。ランナー膝は、ランニングやサイクリング、ハイキングなど、膝を繰り返し使うスポーツで発症しやすいです。
主な症状
- 膝の外側の痛み: ランニング中やランニング後に膝の外側に鋭い痛みが現れます。痛みは初めは軽く、運動を続けるうちに悪化することが多いです。
- 膝の動作中の痛み: 特に膝を曲げ伸ばしする動作(階段を下る、坂道を下る、長時間のランニングなど)で痛みが増します。
- 腸脛靭帯の炎症: 腸脛靭帯が膝関節の外側の骨と擦れ合うことで炎症が起こり、痛みが生じます。
- 膝の腫れやこわばり: 重度の場合、膝の外側に軽い腫れやこわばりを感じることがあります。
原因
ランナー膝の主な原因は、膝に対する過度の負担と腸脛靭帯の摩擦です。具体的には、以下の要因が関与しています。
- ランニングフォームの問題: 不適切なランニングフォームや、膝が内側に入る(ニーイン)状態でのランニングが、腸脛靭帯に過剰な負担をかけます。
- オーバーユース(使い過ぎ): ランニングの距離やペースを急激に増やすと、腸脛靭帯が疲労し炎症が起こりやすくなります。
- 筋力のアンバランス: 特に股関節周りの筋力不足が、膝の安定性を損ない、腸脛靭帯に負荷をかけます。
- 柔軟性の低下: 太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)や腸脛靭帯が硬いと、膝関節の動きが制限され、摩擦が起こりやすくなります。
- 不適切なランニングシューズ: クッション性が低い靴や、硬い地面でのランニングが腸脛靭帯への負担を増大させます。
診断
ランナー膝の診断は、痛みの部位や運動履歴の確認をもとに行われます。膝の外側を押すと痛みが生じる場合や、ランニング中の痛みの出現パターンを確認することで診断が進められます。必要に応じて、X線やMRIなどの画像検査を行い、他の膝の障害を除外することがあります。
治療法
ランナー膝の治療は、主に炎症を抑え、腸脛靭帯への摩擦を軽減することを目的としています。
- 安静: ランニングを一時的に中止し、腸脛靭帯を休ませることが最も重要です。
- アイシング: 痛みや炎症を軽減するために、膝の外側を冷やします。
- ストレッチと筋力強化: 腸脛靭帯や太ももの筋肉のストレッチを行い、股関節や膝周りの筋肉を強化するエクササイズが推奨されます。特に臀部や股関節周りの筋力強化が効果的です。
- フォームの修正: ランニングフォームを見直し、膝に過度の負担がかからないようにします。特にニーインを防ぐためのフォーム改善が重要です。
- テーピングやサポーター: 膝の外側を保護し、腸脛靭帯への負担を軽減するために、テーピングやサポーターを使用することがあります。
- 抗炎症薬: 痛みが強い場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されることがあります。
手術
保存療法で改善しない場合や重度のケースでは、腸脛靭帯の一部を切除する手術が検討されることがあります。しかし、手術は最終手段として行われることが多いです。
リハビリと予防
リハビリでは、柔軟性の向上や筋力のバランスを改善するエクササイズが中心となります。適切なウォームアップやクールダウン、正しいランニングフォームを習得することも、再発を防ぐために重要です。
予防策
- 適切なランニングシューズの使用
- ランニング距離やペースの段階的な増加
- 柔軟性と筋力バランスを維持するためのストレッチとエクササイズ
- 定期的にランニングフォームをチェックすること